(3) ナノ材料・ナノプロセスの物理・化学の深化と応用の研究

テイラードクラスターイオンの生成(具体例)

 ナノサイズの塊状原子集団であるクラスターは、固体、液体、気体、プラズマでもない第5の状態として物理的・化学的に特異な性質を持っています。また、我々の周囲の巨視的な世界と原子・分子が活動する微視的な世界を繋ぐ役割を果たしており、材料科学的に解明すべき重要な研究対象になっています。当研究室では、このような特徴を持つクラスターのサイズのみならず、その物理的・化学的特性を高精度に制御したテイラードクラスターイオンの生成と工学応用の研究に取り組んでいます。

概要

 1個のクラスターを構成する分子数(クラスターサイズ)を明らかにするために、減速電界法や飛行時間(TOF)型質量分析法、四重極高周波電界質量分析(Q-MASS)法によってサイズ測定を行っています。ここでは、クラスターイオンは1価イオンと仮定しており、殆どの構成分子は中性状態と考えています。その結果、クラスターサイズは数百〜数万分子に分布し、ピークサイズとしては、水クラスターイオンでは約2500分子、エタノールクラスターイオンでは約1000分子であることが分かっています。また、このようなクラスターサイズ分布は減速電界法を併用して制御することができます(図6参照)。これまで、種々の液体クラスターイオン以外にアルゴン、酸素などの気体クラスターイオンのサイズ分離・分析も行い、テイラードクラスターイオンの生成と工学応用の研究を行っています。

図6: 減速電界法により制御したエタノールクラスターイオンのサイズ分布

 また、アルコールやパラフィンのような多原子分子を電子衝撃法でイオン化すると必然的に分子崩壊が起こります。こうした多原子分子のナノ粒子(モノマーやクラスターを含めた粒子)のイオン化過程を明らかにし、分子崩壊が起こらないイオン化技術の開発や多原子分子自身の特性を保持したナノイオンビームの開発を行い、物理・化学現象の限界に挑戦しています。

Copyright © 2008 京都大学 光・電子理工学教育研究センター ナノプロセス工学分野